6: 2009-11-13 (金) 14:05:16 sho ソース 現: 2011-02-02 (水) 19:27:26 eid7gud ソース
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-このページでは基礎知識から準備までの説明をします。 +TITLE:FDIII-HC Starter Kit Guide Chapter1.1
*基礎知識 [#q609a0a5] *基礎知識 [#q609a0a5]
本キットを使用するに当たって必要最小限の基礎知識を紹介します。 本キットを使用するに当たって必要最小限の基礎知識を紹介します。
**部品の紹介 [#wcbc3453] **部品の紹介 [#wcbc3453]
-本キットに同封されているパーツの紹介です。+本キットに同梱されるパーツの紹介です。
****FDIII-HC [#bed7f73d] ****FDIII-HC [#bed7f73d]
#ref(FDIII-HD.png,50%) #ref(FDIII-HD.png,50%)
-モーターやセンサをコントロールするもので、コントローラ(ホストコントローラ)と呼ばれます。~ +本キットの中核を担うホストコントローラです。モータやセンサといった装置とコミュニケーションをとりながら、様々な処理を行わせることができます。 
-コントローラというとケームなどで人が操縦するためのものという認識があるかもしれませんが、これはモーターやセンサをコントロールするものという意味でコントローラと呼ばれます。~ + 
-この中にこれからC言語で作成するプログラムを書き込みます。~+詳細は[[こちら>FDIII-HC]]をご覧下さい。
****Dynamixel AX-12+ [#x6710e62] ****Dynamixel AX-12+ [#x6710e62]
#ref(AX-12+.png,50%) #ref(AX-12+.png,50%)
-ホーン(丸い部分)が回転することで、ロボットの間接や車輪などの役割を果たすモーターユニットです。+ホーン(丸い部分)が回転することで、人型ロボットの関節部分や車型ロボットの車輪などの役割を果たすことができるモータユニットです。
-ただのモーターではなく、中にマイコンが入っており、ある決まった信号を送る事で、ホーンの角度を調節したり、現在の角度を取得したりできます。~+中にはホストコントローラとコミュニケーションを行ったり、指令されたホーンの位置を保持するための様々な処理を行うためのマイクロコンピュータが内蔵されています。 
 + 
 +詳細は[[こちら>AX-12+]]をご覧下さい。
****Dynamixel AX-S1 [#b34b99ad] ****Dynamixel AX-S1 [#b34b99ad]
#ref(AX-S1.png,100%) #ref(AX-S1.png,100%)
-形はAX-12+と似ていますが、ホーンは回転しません。+写真の3つの矢印方向に備わった赤外LEDとフォトトランジスタによる反射光量計測、フォトトランジスタのみによる赤外線輝度計測、マイクによる音量測定やクラップ音カウント、ブザーによるメロディ演奏、赤外線通信などを搭載したセンサユニットです。~ 
-3方向の距離・輝度センサ、音センサ(音量、音カウント)、ブザー、赤外線通信などを搭載したセンサユニットです。~ +こちらもAX-12+同様に内蔵されたマイクロコンピュータによって自動的に計測処理が行われるようになっています。
-AX-12+と同様の信号を送ることで、各センサの値を取得する事ができます。+なお、形状がAX-12+と酷似していますが、モータを内蔵してないのでホーンは回転しません。 
 + 
 +詳細は[[こちら>AX-S1]]をご覧下さい。
****フレーム [#p73d2ce1] ****フレーム [#p73d2ce1]
#ref(Fream.png,50%) #ref(Fream.png,50%)
-Dyanmixelでロボットのようなものを構築するためのものです。本キットには2種類のフレームがあります。色々な取り付け方が可能です。フレームを取り付けるためのネジも付いています。+AX-12+およびAX-S1の形状に合わせたプラスチック製の機構パーツです。2種類のフレームを組み合わせることで、様々な形状を作ることができます。
****Dynamixelケーブル(3線) [#mf010e2e] ****Dynamixelケーブル(3線) [#mf010e2e]
#ref(cable.png,50%) #ref(cable.png,50%)
-FDIII-HC、Dynamixel AX-12+、AX-S1を接続するためのケーブルです。3本の線があり、2本は電源供給用、1本は信号線です。+FDIII-HCとAX-12+ないしAX-S1同士を接続するためのケーブルで、3本の線で一組となっています。両端にはコネクタが装備されています。
-FDIII-HCには3本線と4本線のケーブルを接続コネクタがあります。+このケーブルにはコミュニケーションを行うための信号や電源といった電気信号がつながり、人に例えると神経と血管といった重要な役割を果たします。
****ACアダプタ・電源延長ケーブル [#qe6afede] ****ACアダプタ・電源延長ケーブル [#qe6afede]
#ref(ACadapter.png,50%) #ref(ACadapter.png,50%)
-FDIII-HC、Dynamixel AX-12+、AX-S1に電源を供給するためのものです。+本製品を動かすための電源は、家庭用のコンセントから必要な電力を取り出すACアダプタを使用します。
-家庭用電源(コンセント) -> ACアダプタ -> 電源延長ケーブル -> FDIII-HCと接続します。FDIII-HCに電源を供給する事でDynamixelケーブルからAX-12+、AX-S1へ電源が供給されます。+また、ACアダプタのプラグ形状が電源の供給先であるFDIII-HCのジャックと異なるため、形状の変換を目的とした電源延長ケーブルも用意しています。
**Dynamixelシリーズについて [#v8001e96] **Dynamixelシリーズについて [#v8001e96]
-****ディジーチェーン接続 [#bff7151b] +****マルチドロップ接続 [#bff7151b] 
-#ref(Dynamixel.png,70%) +Dynamixelシリーズは1つのネットワークに対してマルチドロップ(芋づる式)接続する方式を採用しています。~ 
-Dynamixelシリーズは数珠つなぎで接続することができるので配線が楽です。+実際の配線イメージは以下の図の様になります。 
 +#ref(Dynamixel.png,80%)
****ID [#eaba0d72] ****ID [#eaba0d72]
-Dynamixelは1本の通信線でつながれています。もしコントローラが「300度の位置まで動け」という指令を出すと、全てのDynamixelが300度の位置まで動いてしまいます。~ +Dynamixelには各個を特定するための固有のIDが振られています。ホストコントローラはIDを元に指令を出します。 
-そのためDynamixelシリーズにはそれぞれIDが振られており、そのIDを元に「ID1は300度、ID2は150度」というような別々の指令を出します。 +#ref(Dynamixel2.png,70%)
-#ref(Dynamixel2.png,100%)+
**フレームの取り付け [#af7d514c] **フレームの取り付け [#af7d514c]
Line 52: Line 55:
#ref(frame1.png,100%) #ref(frame1.png,100%)
****OF-12Sの取付 [#xaf0f8c0] ****OF-12Sの取付 [#xaf0f8c0]
-#ref(frame2.png,100%)+#ref(frame2.png,50%)
OF-12SHとOF-12Sを組み合わせることもできます。 OF-12SHとOF-12Sを組み合わせることもできます。
-*ソフトウェアの準備 [#odc71c29] +**ブートローダ [#r867583a
-#ref(GCCDeveloperLite.png,100%) +[[ブートローダ>BTE083 FDIII-HC#g271227d]]はFDIII-HC内のマイコンに備わっているプログラムで、FDIII-HCに内蔵される機能にアクセスする手段を提供します。ここでは自作したプログラムをFDIII-HCへ転送する際に操作する事が主になります。
-ソフトウェアはGCC Developer Liteを使用します。~ +
-C言語のプログラミングからコントローラへの書き込みまでを行います。 +
-**ダウンロード [#y1478f69+
-[[こちら>GCC Developer Lite#DOWNLOAD]]のページからインストールパッケージをダウンロードします。 +
-**インストール [#wd02f134] +
-#ref(GCC1.png,100%) +
-ダウンロードしたインストーラをダブルクリックします。 +
----- +
-#ref(GCC2.png,80%) +
-Japaneseを選択してOKをクリックします。 +
----- +
-#ref(GCC3.png,80%) +
-次へをクリックします。 +
----- +
-#ref(GCC4.png,80%) +
-内容を読み、同意される場合は同意するにチェックを入れ、次へをクリックします。 +
----- +
-#ref(GCC5.png,80%) +
-内容を読み、次へをクリックします。 +
----- +
-#ref(GCC6.png,80%) +
-インストール先の指定です。予め指定されている場所へインストールすることを推奨します。~ +
-インストール先を決めたら次へをクリックします。 +
----- +
-#ref(GCC7.png,80%) +
-選択ボックスから「FREEDOM III (SAM7S)でのみ使用」を選択し、次へをクリックします。 +
----- +
-#ref(GCC8.png,80%) +
-次へをクリックします。 +
----- +
-#ref(GCC9.png,80%) +
-次へをクリックします。 +
----- +
-#ref(GCC10.png,80%) +
-次へをクリックします。 +
----- +
-#ref(GCC11.png,80%) +
-インストールが始まります。終了まで数分かかります。 +
----- +
-#ref(GCC12.png,80%) +
-インストール終了です。完了をクリックします。 +
- +
-**サンプルプログラム [#p5b8c990] +
-こちらからダウンロードします。~ +
-zip形式で圧縮されていますので解凍して下さい。 +
- +
-**ソフトウェアの紹介 [#t4028939] +
-****GCC Developer Lite [#b3e11ce8] +
-#ref(GCCDeveloperLite.png,100%) +
-ここへC言語のプログラムを書きます。 +
-プログラムを書き終えたら、コンパイル(人が読むことができるC言語をパソコンが読むことができるデータに変換すること)を行います。 +
- +
-****SIMPLE TERM [#nb5db739] +
-#ref(SIMPLE TERM.png,100%) +
-FDIII-HCとパソコンで通信するためのソフトです。GCC Developer Liteでコンパイルに成功すると自動的に起動します。プログラムをFDIII-HCに書き込んだり、プログラム実行中にFDIII-HCと通信をします。 +
- +
-*動作確認 [#c91a904c] +
-サンプルプログラムを使って、コンパイルからプログラムの書き込みまでの一連の操作を実際に行ってみましょう。+
-**機器の接続 [#xa842a1b] +ブートローダでの大まかな操作手順は下記のようになりますが、具体的な操作方法は追って説明します。 
-ケーブルの抜き差しを行う際は必ず電源を切った状態で行って下さい。~ +#ref(bootloder1.png,100%)
-~ +
-#ref(connect.png,80%) +
-FDIII-HCとDynamixel AX-12+、AX-S1を接続します。~ +
-AX-12+とAX-S1は3本線のケーブルで接続します。接続する順番やコネクタの位置はどこでも構いません。但しFDIII-HCの3本線用のコネクタに差し込んで下さい。誤って4本線のコネクタに差し込んだ状態で電源を入れると破損します。~ +
----- +
-#ref(connect2.png,100%) +
-電源スイッチがOFF側になっていることを確認します。~ +
----- +
-#ref(connect3.png,100%) +
-電源延長ケーブルをFDIII-HCに接続します。 +
----- +
-#ref(connect4.png,100%) +
-電源延長ケーブルとACアダプタを接続します。 +
----- +
-#ref(connect5.png,100%) +
-ACアダプタをコンセントに接続します。 +
----- +
-#ref(connect6.png,100%) +
-パソコンとFDIII-HCをUSBケーブルで接続します。 +
-このときパソコンからUSBケーブル経由でFDIII-HCへ電源が供給されます。~ +
-初めて接続した場合は、ドライバのインストールが始まります。ドライバはGCC Developer Liteをインストールした際にコピーされていますので、自動検索することでインストールが行われます。~ +
----- +
-#ref(connect7.png,100%) +
-|CENTER:BGCOLOR(red):||c +
-|  :idea:|既にユーザープログラムが書き込まれているFDIII-HCを、デバイスドライバがインストールされていないPCのUSBポートに接続してもCOMポートが活性化しない事があります。&br;ブートローダを確実にコマンドモードにさせCOMポートとして認識させるには、電源スイッチをOFFにした状態でPB1を押しながらUSBケーブルを接続します。|+
-**サンプルプログラムの書き込み [#f9f5cafa+**AX-12+コントロールテーブル [#xa86a787
-****サンプルプログラムを開く [#a3c3d570] +ここではコントロールテーブルのうち、使用する主なアイテムだけを抜粋して紹介します。~ 
-#ref(write1.png,100%) +詳しくは[[Dynamixelコントロールテーブル(DX,RX,AXシリーズ用)]]を参照して下さい。~
-デスクトップのGCC Developer Liteアイコンをダブルクリックします。 +
----- +
-#ref(write2.png,100%) +
-GCC Developer Liteが起動したらメニューの「ファイル」->「開く」をクリックします。 +
----- +
-#ref(write3.png,100%) +
-ダウンロードしたサンプルプログラムの「aaaa.c」を選択し、「開く」をクリックします。+
-****コンパイルオプションの設定 [#p4122b59] +| アドレス | アイテム | 
-コンパイルオプションの設定は1度行えば、次からは自動的にその設定になります。 +| 30 |ゴールポジション(L) | 
-#ref(write4.png,70%+| 31 |ゴールポジション(H) | 
-メニューの「ツール」->「コンパイルオプション」をクリックします。 +| 32 |動作速度(L) | 
----- +| 33 |動作速度(H) | 
-#ref(write5.png,70%) +| 34 |トルクリミット(L) | 
-設定リストの中から「FREEDOM III library for FDIII-HC」を選択し、「OK」をクリック、更にコンパイルオプションウィンドウの「OK」をクリックします。+| 35 |トルクリミット(H) | 
 +| 36 |現在のポジション(L) | 
 +| 37 |現在のポジション(H) | 
 +| 38 |現在のスピード(L) | 
 +| 39 |現在のスピード(H) | 
 +| 40 |現在の負荷(L) | 
 +| 41 |現在の負荷(H) | 
 +| 46 |動作中 | 
 +#ref(control1.png,100%)
-****コンパイルする [#ad84c3d3+**AX-S1コントロールテーブル [#u70f1fa1
-#ref(write6.png,70%) +ここではコントロールテーブルのうち、使用する主なアイテムだけを抜粋して紹介します。~ 
-メニューの「コンパイル」->「ビルド」をクリックします。 +詳しくは[[AX-S1コントロールテーブル]]を参照して下さい。~ 
----- +| アドレス | アイテム | 
-#ref(write7.png,70%) +| 26 |左側赤外線反射センサ | 
-ポップアップウィンドウが出たら「OK」をクリックします。 +| 27 |正面赤外線反射センサ | 
----- +| 28 |右側赤外線反射センサ | 
-#ref(write8.png,70%) +| 29 |左側赤外線輝度センサ | 
-SIMPLE TERMが自動的に起動します。+| 30 |正面赤外線輝度センサ | 
 +| 31 |右側赤外線輝度センサ | 
 +| 35 |音量測定値 | 
 +| 36 |音量最大保持値 | 
 +| 37 |クラップ音カウント | 
 +| 40 |ブザー音階 | 
 +| 41 |ブザー長さ | 
 +#ref(control2.png,100%)
-****SIMPLE TERMの設定 [#a3b0dd1e] 
-先ず[[機器の接続>#xa842a1b]]が完了していることを確認して下さい。 
----- 
-#ref(write9.png,80%) 
-SIMPLE TERMのメニュー「ファイル」->「プロパティ」をクリックします。 
----- 
-#ref(write10.png,80%) 
-Connect toのリストの中から「AT91 USB to Serial Converter」と書かれているCOMポートを選択して下さい。COMポートの番号は環境によって異なります。 
-もしそのようなCOMポートが見つからない場合は、[[機器の接続>#xa842a1b]]を参考にドライバが正常にインストールされているかを確認して下さい。また電源を切った状態で、PB1(プッシュボタン)を押しながらUSBケーブルを差し込んで下さい。 
----- 
-#ref(write11.png,80%) 
-その他は以下の通り設定して「OK」をクリックします。 
- Baudrate:ここでは意味を持たないので何でも構わない 
- Databits:8 
- Stopbits:1 
- Parity:Non 
- Flow Control:Non 
- Protocol:Xmodem 
----- 
-#ref(write12.png,80%) 
-メニューの「通信」->「ポートオープン」をクリックします。 
----- 
-#ref(write13.png,80%) 
- --< FDIII Ver1.0 by BestTechnology >-- 
- > 
-と表示されることを確認して下さい。 
----- 
-#ref(write14.png,80%) 
-スクリプト実行ボタン(走る人のマーク)をクリックします。するとプログラムの転送が始まり 
- <SUCCESS> 
-と表示されたら転送完了です。 
----- 
-#ref(write15.png,80%) 
-FDIII-HDの電源をONにします。Dynamixel AX-12+とAX-S1に電源が供給されます。 
----- 
-#ref(write16.png,80%) 
-SIMPLE TERM上でキーボードの「g」を入力します。すると書き込んだプログラムが実行されます。 
-****サンプルプログラムの動作 [#s42c8d3b]+[[次のチャプターへ>FDIII-HC Starter Kit Guide Chapter1.2]]~
-[[機器の接続>#xa842a1b]]、[[サンプルプログラムの書き込み>#f9f5cafa]] +[[FDIII-HC Starter Kit Guide]]へ戻る
-を参考にいくつかのサンプルプログラムを書き込んで動作させてみましょう。+


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